2017年12月31日


2017.Dec.28
☆☆☆★★
秘かに奈良の奥山を散策する2人の女性。手をしっかりと握って、どちらともなく微笑みかけている美しい2人は、洋服のよく似合う魅惑的な徳光光子(若尾文子)。その眼は特に印象的だ。そして和服の似合うもう一人の女性は、弁護士柿内孝太郎(船越英二)の妻で、チャーミングな小悪魔を思わせる柿内園子(岸田今日子)。この2人は同性愛であった。先日も、園子の寝室で、その美事な裸体を披露した光子は、その美しさに興奮した園子と、激しく抱き合っていた。最初は恥かしがっていた光子も、だんだんその奇妙な魅力の虜になっていた。すっかり光子の美しさに魅惑された園子は、光子に綿貫栄次郎(川津祐介)という情夫がいることを知って、光子に裏切られたと、涙にくれる。だが光子を食いものにする綿貫は、園子と光子の愛情のこまやかなのを心配して、光子への愛を2人で分け合おうともちかけ、光子、園子、綿貫の奇妙な三角関係の誓約書を結ばせる。だが、この関係も長くは続かず、光子と綿貫の関係を清算させようと園子が画策するのを知った綿貫は光子を脅迫。これに絶望した光子と園子は狂言自殺をするが、朦朧とした園子の眼に映ったのは、自殺の知らせを聞いて、駈けつけた園子の夫孝太郎と、光子の情事だった。ここに、光子の虜となった孝太郎と、光子、園子の新しい三角関係が成立する。ある日、3人にとって致命的な事件が起きる。綿貫が写真に撮った誓約書を新聞がスッパ抜いたのだ。醜聞は、広まり、3人の前には、自殺で償うより他に手はないように思えた。ある夜ベッドで睡眠薬を飲んだ3人は、静かに事を処理した。だが翌日、光子と孝太郎はすでに息絶え、園子だけが生き残っていた。

1964年の若尾文子もの。谷崎潤一郎の同名小説が原作。人妻と若い女が同性愛の関係になり、やがて主人も加わって倒錯した関係に展開するお話。園子が谷崎へネタを提供しに行った体で、回想される流れ。31歳の若尾ちゃんがファムファタール役。綿貫とグルで、資産をせしめようと画策してるのかと思ったが、そうではなかったので、人の業を切り取ったのだな。1964年は、岸田今日子にとって『砂の女』の年でもあるのね。1928年にこういうのを書く谷崎の変態性は、筋金入りですな。
を買って観る
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posted by どん at 21:34| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月30日

トスカーナの贋作


2017.Dec.28
☆☆★★★
Certified Copy (2010) on IMDb

トスカーナの小さな村で、『贋作 本物より美しき贋作を』という本を発表したジェームズ(ウィリアム・シメル)の講演が行われる。それを1人の女(ジュリエット・ビノシュ)が息子を連れて聞きに来ていた。公演の後、女が経営するギャラリーをジェームズが訪れ、再会。「面白い場所へ連れ行ってあげる」という女の誘いに「9時までに戻らないと列車に遅れる」という条件で付きあう。「トスカーナのモナリザ」という贋作を見せるが、「モナリザだってジョコンダ夫人の贋作にすぎない」とつれない。2人はカフェで夫婦と間違われたことをきっかけに、ゲームのように長年連れ添った夫婦を演じ始める。初めは順調に進んでいったが、彫像をきっかけに、2人の間に微妙なずれが生じてゆく。互いに苛立ちを感じ始めた頃、老夫婦と出会い、2人を夫婦と誤解した老夫婦の夫の方がジェームズにアドバイスを送る。「君の奥さんが求めているのは、そっと肩を抱かれて歩くことだ」。レストランで微妙なずれを埋めるため、魅力的な“妻”になろうと化粧直しをする女。しかし、会話が噛みあわなくなり、苛立ちが最高潮に達したジェームズは店を出ていってしまう。女は後を追い、1人で教会へ歩いていく。教会から出てきた女に、ジェームズは本当の妻を労わるように静かに謝る。穏やかに夫婦の関係を築き直そうと、2人はお互いを許し、寄り添う。すると突然、女は「15年前の結婚式の夜に泊まった」と言って、近くの安ホテルを訪れる。「15年前に泊まった部屋」に通された女はすでに“夫婦”の関係をゲームに留められなくなっていた。ジェームズは自分が幻想を求めているのかどうかを見定めるように、洗面台の鏡に映った“夫”を演じる自分を見つめる。「言ったはずだ。9時までに戻ると」。教会の鐘が響き、夕暮れを告げていた。

ジュリエット・ビノシュもの。偽の夫婦を演じることになった男女の虚実混交の恋愛模様を描く。カンヌでジュリエットが主演女優賞を受賞した作品。ジュリー・デルピーの『ビフォア・サンライズ』シリーズっぽい造りなんだけど、ストレートに恋愛を描かず、シニカルな方向に振っているな。作品的には、ヒステリックな口論が続くので、気分が良くない。結局、仮の夫婦を演じていた(贋作)のに、夫婦愛のようなものが芽生えてしまった(真作)、つまり贋作が真作になってしまったことを表現していて、何が“真”なのかを問いかけてるわけか。着想はともかく、作品として面白いかは、別。
トスカーナの贋作を買って観る
こちらのトスカーナの贋作レビューも参考に
posted by どん at 17:49| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月29日

マジック・イン・ムーンライト


2017.Dec.28
☆☆★★★
Magic in the Moonlight (2014) on IMDb

1928年、頭が固くて皮肉屋のイギリス人マジシャン、スタンリー(コリン・ファース)は中国人に扮装し、華麗なイリュージョンで喝采を浴びている。そんなある日、とある大富豪が入れあげているアメリカ人女占い師ソフィ(エマ・ストーン)の真偽のほどを見抜いてほしい、と旧友のマジシャン、ハワードに頼まれ、早速スタンリーはコート・ダジュールの豪邸へ乗り込んでいく。ところが実際に対面したソフィは若く美しい女性で、スタンリーに“東洋のイメージが浮かぶ”などとあっと驚く透視能力を発揮。この世に魔法や超能力など絶対に存在しないという人生観を根底からひっくり返されたスタンリーは、笑顔も抜群にチャーミングなソフィに魅了されてしまう。他人を騙し騙されまいとするマジシャンと、他人の心を見透かし見透かされまいとする占い師の駆け引きは次第に加速していくが、2人は素直に想いを打ち明けることができない。ソフィは、大富豪の子息のプロポーズを受けることにする。

大富豪に取り入る怪しげなUS人女性霊媒師のペテンを見破ろうと乗り込んできた皮肉屋のイギリス人マジシャンが、キュートな霊媒師に思いがけず心惹かれていくお話。1920年代の雰囲気は良いね。コリン・ファース演じたスタンリーは、昔ならウディ自身が演じてた分身なので、シニカルが過ぎる。斜に構え過ぎて、まともにキャッチボールもできてないのに恋に突入しちゃってる感じ。何故なら、それこそ“マジック”だから、という夢オチ的展開を粋とは言えないわな。
マジック・イン・ムーンライトを買って観る
マジック・イン・ムーンライトを借りて観る
こちらのマジック・イン・ムーンライトレビューも参考に
posted by どん at 16:24| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする