2014年04月30日

ラルジャン

ラルジャン [DVD] / クリスチャン・パティ, カロリーヌ・ラング (出演); ロベール・ブレッソン (脚本); ロベール・ブレッソン (監督)
2014.Apr.27
☆☆★★★
小遣いに不足したブルジョワ少年が親に無心して断られ、借金のある友人に弁解に行く。友人は彼に偽札を使ってお釣りをくれればいいと唆す。彼らはその札を写真店で使い、まんまと企ては成功。偽札をつかまされた店の主人夫婦は、これを燃料店への支払いに使う。結果、その従業員イヴォン(クリスチャン・パティ)が気付かず食堂で使って告発された。彼は写真店を訴えるが、店員ルシアン(ヴァンサン・リステルッチ)の偽証で有罪に。執行猶予となるが、失職する。ルシアンは商品の値札を貼り替えて、差額をかすめ取っていたが、見つかって解雇される。だが、その掌中には店の合鍵が。一方、イヴォンは知人の強盗の運び屋をし、未然に逮捕され3年の実刑を受ける。その間に愛娘が病死、妻の心は彼を離れる。それを中傷した同房の者を殴ろうとしてやめるイヴォン。独房送りで毎夜支給される睡眠薬を溜め、自殺を図るが未遂に終わる。やがて、写真店を荒し逃げ回っていたルシアンが入所してきて、赦しを乞い、見返りに脱獄の誘いをするが、イヴォンはこれに乗らず、おとなしく刑期を終える。出所して泊まった安ホテル。ここで彼は主人夫妻を惨殺し、はした金を奪って逃走。ある村の裕福な農家の家事一切を引き受ける中年の女の世話になる。夫を失い、車椅子の息子と老いた元ピアノ教師の父と、姉夫婦一家と暮らしている健気な彼女は、事情を知ってもひたすら彼をいつくしみ、彼との語らいの時を持つ。ある夜、一家を次々に惨殺したイヴォンは、斧を手に婦人の室に入った。

トルストイの『にせ利札』という小説が原作らしい。一枚の偽札から連鎖して、若者の運命を狂わせていくお話。ロベール・ブレッソン監督の真骨頂と言われている作品らしい。じっと留まったショットの中で、光や影が動き、それに伴う音が乗っている、そんな表現が多いね。虚飾を廃した中にある静かな迫力、と特徴的ではある。映画として面白いかは、また別。イヴォンの心情変化は描かれないので、唐突感は否めませんね。何か虚無的に突き放す効果を狙ったのかな。
ラルジャンを買って観る
こちらのラルジャンレビューも参考に
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2014年04月29日

夜明けのうた

日活100周年邦画クラシックス GREATシリーズ 夜明けのうた HDリマスター版 [DVD] / 浅丘ルリ子, 浜田光夫, 松原智恵子, 小松方正, 岡田眞澄 (出演); 蔵原惟繕 (監督)
2014.Apr.26
☆☆☆★★
華やかなミュージカル公演の千秋楽の夜、打ち上げを終えた主演の緑川典子(浅丘ルリ子)は、オープンカーを駆って、愛人で作曲家の野上(岡田眞澄)が待つホテルへ向った。その夜、典子は自ら進んで野上の前に身体を委ねたが、野上は何かに追われるようにホテルを出ていった。妻を持つ、気弱な野上は、極度に2人の情事を世間に知られるのを恐れていた。満たされぬ気持の典子は再び車に乗り、あてもなく突走った。そうして来た小田原のドライヴ・インで極度の疲労と睡魔に襲われた典子は、居合わせた青年・利夫(浜田光夫)に運転を頼んだ。利夫は眼病の少女・千加子(松原智恵子)を連れていた。典子は、千加子のために車を医大病院へつけさせ、千加子を知り合いの医師に頼むと、自分も病院のベッドで、眠りこけてしまった。典子がアパートへ帰ってみると、つき人と運転手が宝石や金を持ち出し駆け落ちしていた。そんなとこに、脚本家・真木(小松方正)とプロデューサー・神山が新作「夜明けのうた」の脚本を持って、出演交渉にやってきた。この内容が、典子と野上の情事、典子の空虚な生活が覗かれたように描かれていた。怒った典子は出演を断り、乗って出た自動車で事故を起し病院にかつぎこまれる。治療も済み、典子は孤独に打ちひしがれて野上に電話をしたが、野上は曖昧で掴み所がなかった。その夜ナイト・クラブで利夫と千加子に再会。千加子は利夫を愛しながら失明する不自由さを思い、利夫の愛を頑なに拒んでいた。典子はそんな千加子を励ました。その夜2人は将来を誓いあった。2人の純粋な愛に目覚めさせられ典子は、野上と別れ、「夜明けのうた」の出演を決意する。

1965年の浅丘ルリ子もの。ヒットした岸洋子の「夜明けのうた」に発する歌謡映画。この頃は、石原裕次郎らの添え物女優から脱却する時期なのですな。ルリ子さんは25歳で、ふっくらしてます。着替えを口実に、やたらと下着姿にされるサービスカットが多いね。共演の松原智恵子は20歳で、ちと田舎臭くてかわいくない。かわいくなるのはこの後なのか。岡田眞澄の色男ぶりも観ておいて損はないでしょ。作品的には、純愛に打たれて自分を取り戻す、というのは何だかな。もう少しドロドロしたところから這い上がって欲しい所。
夜明けのうたを買って観る
こちらの夜明けのうたレビューも参考に
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2014年04月28日

サラの鍵

サラの鍵 [DVD] / クリスティン・スコット・トーマス, メリュジーヌ・マヤンス, エイダン・クイン (出演); ジル・パケ=ブレネール (監督)
2014.Apr.26
☆☆☆☆★
夫と娘と共にパリで暮らすアメリカ人女性記者ジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)は、45歳で待望の2人目の妊娠を果たすが、夫から思わぬ反対を受ける。夫の両親から譲り受けて住むことになった古いアパートのかつての住人が、1942年のヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件で検挙されたユダヤ人で、10歳の娘・サラが収容所から脱走していたことを知ったジュリアはサラの足跡を取材することを決める。1942年7月の一斉検挙の朝、すぐに戻れると思っていたサラは弟を納戸に隠して鍵をかけた。しかし、彼女は両親と共に収容所に送られた。サラは弟を助け出すべく脱走を図る。親切なデュフォール夫妻に助けられたサラは、夫妻の孫「息子」を装ってパリに向かう。サラが住んでいた部屋には既にテザック家が暮らしていた。強引に部屋に上がり込み、納戸の鍵を開けたサラが見たのは弟の無惨な姿だった。弟の遺体はデュフォール夫妻が引き取り、テザック家の主人と幼い息子エドゥアルドの2人はこの事実を家族にも隠すことにする。エドゥアルドの父はサラに毎月金を送り、デュフォール夫妻はサラの近況を手紙で伝えていた。しかし、成長したサラは、デュフォール家に何も告げずに家を出て行ってしまう。デュフォール夫妻の孫息子の娘と連絡の取れたジュリアは、サラがNYに渡り、結婚したことを知る。堕胎を取りやめ、NYに向かったジュリアはサラが既に40年も前に交通事故で亡くなっていたことを知る。1人息子ウィリアムがイタリアにいることを知ると、早速会いに行く。母サラがユダヤ人であったことも過去の悲劇も何も知らされていなかったウィリアムは、サラに関する話を聞くことを頑に拒む。ジュリアは自分の傲慢さを思い知らされる。パリに戻ったジュリアは、堕胎せずに生むことを決める。一方ウィリアムは死期の近い父から、母が事故死ではなく、酷い鬱病を患って自殺した事実と彼女の過去の悲劇を初めて知らされ、サラの日記を受け取る。2年後、娘を生んだジュリアは、NYで2人の娘と暮らしていた。そこにウィリアムから連絡が来る。ウィリアムは死後40年経って初めて母サラの本当の姿を知ることができたこと、そのことで父が穏やかに死を迎えることができたことを報告する。ジュリアはイタリアでの自分の傲慢さを詫びる。2人は打ち解け合い、ウィリアムは改めてジュリアが生んだ2人目の娘の名前を尋ねる。ジュリアは「サラ」と答える。ウィリアムは感極まって涙する。

ナチス占領下とはいえ、フランス警察がユダヤ人を大量検挙した過去があったのですね。その後、当然アウシュビッツなどの収容所へと送られる運命で。途中までは、この歴史上の汚点を追究することがテーマなのだと思っていました。次第に、現代のジュリア家族とサラとの関わりというミステリー性が盛り込まれ、さらにサラの生涯がジュリア自身の人生に影響を与えるヒューマンドラマへと展開していきます。この展開と引き込み方が見事で、ラストには涙してしまいます。
サラの鍵を買って観る
こちらのサラの鍵レビューも参考に
posted by どん at 13:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする